「D2Cは小売業界にどのような影響をもたらしたのでしょうか?」
「コト、モノをハイブリットし、各業界になかった革新的なサービスを提供しました。結果、既存の大手小売会社が破産申請するきっかけを作りました。」
こんにちは。ウメ犬です
今回は『【小売業の未来予測】書籍:「D2C」第1章「D2Cが生んだパラダイムシフト」レビュー』についてお話ししていきます。
【小売業の未来予測】書籍:「D2C」第1章「D2Cが生んだパラダイムシフト」レビュー
概要
前半:第1章:「が生んだパラダイムシフト」レビュー
後半:書籍「D2C」用語解説
この記事でわかること
・今、アメリカの小売業界でなにが起きているのかがわかります
・書籍「D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (NewsPicksパブリッシング)」で使われている専門用語の解説
前半:第1章:D2Cが生んだパラダイムシフトまとめとレビュー
①アメリカで起きた衝撃的な革命
2018年10月、アメリカの寝具マットレス最大手の「Mattress Firm(マットレスファーム)」が破産法の適用を申請した。
引用:「D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (NewsPicksパブリッシング)」
Mattress Firm(マットレスファーム)は創業1986年、全米で3,300もの店舗を持つ巨大チェーンです。
そのMattress Firm(マットレスファーム)が、破産法の適用を発表した時点で、200店舗を即座に閉じ、さらに500店舗を閉鎖すると当時発表されていました。
実は、このMattress Firm(マットレスファーム)の破産の引き金を引いたのが、創業わずか4年程度のD2Cブランド「Casper」という会社でした。
そして、このマットレスで起きた革命は、スーツケース、メガネ、髭剃り、スニーカー、化粧品、ペットフード、アクセサリー、家具のような今までならテクノロジーと無縁だった業界で次々と起きています。
②「D2C」の定義
では、業界に革命を起こした「D2C」という戦略はどのようなモノなのか?
その定義は以下の7点です。
1.「ものづくり屋」ではなく「テック企業」である
2.「間接販売」ではなく「直接販売」する
3.「高価格化」ではなく「低価格化」を志向する
4.「着実な成長」ではなく「指数関数的成長」を遂げる
5.「プロダクト」ではなく「ライフスタイル」を売る
6.「X世代以上」ではなく「ミレニアル世代以下」をターゲットとする
7.「顧客」ではなく「コミュニティ」として扱う
それぞれ、見ていきたいと思います。
1.「ものづくり屋」ではなく「テック企業」である
一定以上成長したD2Cスタートアップには、データサイエンティストが数十人在籍しています。
社員の10〜20%にあたる規模になります。
しかし、伝統的なアパレルブランドでは、どれだけ規模が大きくても、データサイエンティストは1人もいない会社が多いのが実情です。
また、D2Cブランドはメーカーではあるが、決して商品のクオリティだけで競合他社と勝負していません。
データ分析やSNSを通じたコミュニケーションを積極活用しています。
2.「間接販売」ではなく「直接販売」する
D2Cブランドは、Eコマースでもリアル店舗においても、顧客とダイレクトに対話を行います。
顧客とのコミュニケーションに広告代理店等を挟まず、直接コミュニケーションするのが特徴です。
3.「高価格化」ではなく「低価格化」を志向する
顧客とのダイレクトコミュニケーションは価格にも大きく影響してきます。
中間業者を挟まず、直販することを徹底することで、リーズナブルな価格を実現することができます。
4.「着実な成長」ではなく「指数関数的成長」を遂げる
プロダクト販売という早めに売上が立ちやすい事業と、インターネットという急成長しやすい技術を掛け合わせることにより、指数関数的に成長しやすい特徴があります。
5.「プロダクト」ではなく「ライフスタイル」を売る
D2Cのブランド戦略は商品ではなく、世界観やライフスタイルを販売し、差別化を行っています。
「Casper」というマットレス屋では、雑誌を発行したり、昼寝専用スペースをオープンしたりと睡眠を中心とした「ライフスタイル」を販売しています。
6.「X世代以上」ではなく「ミレニアル世代以下」をターゲットとする
アメリカのミレニアル世代とは、1980年代から1990年代後半までに生まれ、2000年代に成人あるいは社会人になる世代のことです。
その特徴は
・厳しい懐事情
・デジタルへの感度
・社会的意義の重要視
となっています。
7.「顧客」ではなく「コミュニティ」として扱う
D2Cの商品は、顧客の一部(熱烈なファン)をコミュニティ化し、そのコミュニティからフィードバックを得ながら、顧客を「製品開発チームの一員」のように扱い、一緒に開発を行っていく特徴を持っています。
そのため、新商品が発売されたとなれば、顧客が時には積極的に口コミで新商品の情報を広めてくれたりします。
③「モノからコト」⇨「コト付きのモノへ」
たとえば、日本でも30歳未満の人の1ヶ月あたりの洋服の消費は、1999年から2014年の間に男性は約半減、女性は4割程度も減少しているという。
引用:「D2C」
これは一般生活者の消費スタイルの変化が大きく関係しています。
消費者は、自動車、洋服など「モノ」の所有・消費に価値を感じなくなり、旅行、友人との食事など「コト=体験」に対し、より大きな価値を感じるようになっています。
今、トヨタ、ルイ・ヴィトン、Appleなどのメーカーがモノを伴わずに提供できるサービスの提供に力を入れ始めています。
しかし、「D2C」ブランドは、このトレンドに反して、「モノ」を販売する会社として成長しています。
書籍「D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (NewsPicksパブリッシング)」では、このD2Cブランドの動きについての結論を「コト付きのモノ」へと表現しています。
優れた顧客体験を提供する、インターネットサービスであるという「コト」的な側面を持ちつつも、リアル店舗を持ち、実質的な「モノ」を核としながら世界観を作り込む。顧客との関係性をより深め、紡いでいく。このハイブリッド性にこそ、D2Cの強みがある。
引用:「D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (NewsPicksパブリッシング)」
D2Cの強さは今までのメーカー、小売業が持ち合わせていなかった「ハイブリッド性」にあると言えます。
後半:書籍「D2C」用語解説
・スタートアップ:比較的新しいビジネスで急成長し、市場開拓、新たな市場を生み出している企業のこと
・パラダイムシフト:当然のこととして社会全体が捉えていた価値観などが、革新的なアイデア等により、劇的に変化すること
・デジタルネイティブ:幼少の時からPC、インターネット、スマートフォンなどのデジタル技術に慣れ親しんでいる世代
まとめ
今回は『【小売業の未来予測】書籍:「D2C」第1章「D2Cが生んだパラダイムシフト」レビュー』についてお話ししていきました。
前半:第1章:「D2Cが生んだパラダイムシフト」レビュー
・今後、日本でも「D2C」が既存の小売業に革新をもたらす可能性は大きくあります。
後半:書籍「D2C」用語解説
・難しい用語も素通りせず、調べていきましょう。
【参考】
D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (NewsPicksパブリッシング)
ではまた。
コメント